【気まぐれ旅日記⑧】空より青いダム湖へ。須坂・豊丘ダムを歩く

こんにちは!
長野で注文住宅・デザイン住宅を手がけている「ALOHA100」の中澤です。
今回は、須坂市にある「豊丘ダム」に行ってきました。
須坂市街地から少し山の方へ進んでいくと、だんだんと道は細くなり、周りの景色も住宅地から山あいの風景へと変わっていきます。
正直、行く前はそこまで大きな期待をしていたわけではありませんでした。
「須坂の山の方にあるダム」
くらいの感覚です。
しかし、実際に行ってみると……
想像以上にすごい場所でした。

山の奥に突然現れる、巨大なコンクリートの壁。
豊丘ダムです。
ダムって、写真で見るのと実際に目の前で見るのとでは迫力が全然違いますね。
山に囲まれた静かな場所に、どっしりと構える巨大な堤体。
人がつくったものなのに、自然の中に飲み込まれず、むしろ自然と真正面から向き合っているような存在感があります。
建築もそうですが、大きな構造物には独特の緊張感があります。
住宅の壁は、人の暮らしを守るためのもの。
一方でダムの壁は、水や土砂、そして自然そのものと向き合うためのもの。
同じ「壁」でも、背負っているもののスケールがまったく違います。
改めて見ると、ダムってとんでもない構造物ですね。

ふと後ろを振り返ると、谷の向こうに須坂のまちが見えました。
山と山の間を抜けるように道が続き、その先に街が広がっています。
普段、須坂の市街地から山を見ることはあっても、山の中から須坂のまちを見下ろすことはあまりありません。
こうして上から眺めてみると、須坂というまちが山に抱かれていることがよく分かります。
いつも何気なく通っている場所でも、少し視点が変わるだけでまったく違って見える。
高い場所から見る景色には、その土地の輪郭を見せてくれるような面白さがあります。
豊丘ダムは、ダムそのものだけでなく、須坂の地形を感じられる場所でもありました。

そして今回、一番驚いたのがこちら。
青い。
とにかく青い。
写真を加工しているわけではありません。
これが素の色なのです。
「湖が青い」と聞くと、普通は空の色を映して青く見えているのかなと思いますよね。
でも、豊丘ダムの湖は少し違いました。
空を映した青というより、湖そのものが青く光っているような色。
しかも、空よりも濃くて、鮮やか。
思わず、
「空より青くない?」
と言いたくなるような色でした。

山の緑や、コンクリートの灰色に囲まれているからこそ、この青さが余計に際立ちます。
自然の中にある水なのに、どこか現実離れしている。
まるで絵の具を一滴落としたような、少し不思議な青です。
ダムというと、どうしても大きな堤体や放流の迫力に目が行きがちですが、豊丘ダムはこの湖の色だけでも見に来る価値があります。
須坂の山奥に、こんな青い湖があるとは思いませんでした。

湖の周りを眺めていると、もうひとつ印象的だったのが周囲の山肌です。
切り立った斜面に、法面保護のコンクリートや吹付が見えます。
ただの自然の山ではなく、人の手がしっかり入っている山。
山を削り、斜面を固め、水をせき止める。
豊丘ダムの景色は、美しい自然だけでできているわけではありません。
青い水。
灰色のコンクリート。
荒々しい岩肌。
斜面を覆う緑。
自然と人工物がかなり強めにぶつかり合っている場所です。
でも、そのぶつかり合いが不思議と悪くないんです。
むしろ、この場所ならではの迫力になっています。
きれいな湖だけだったら、ここまで印象に残らなかったかもしれません。
巨大な堤体だけでも、少し無機質に感じたかもしれません。
でも、青すぎる水と、無骨なコンクリートと、山の荒々しさが一緒にあることで、豊丘ダムならではの景色になっていました。
堤体の上から見ると、ダムの構造もよく分かります。
上から見ると、水を逃がすための設備や管理用の建物、点検用の階段など、いろいろな要素が組み合わさっていることに気づきます。
ただ水を止めるだけではなく、水位を管理し、流れを調整し、下流のまちを守る。
ダムは「大きな壁」でありながら、実はかなり複雑な装置でもあるんですね。
そして、この形がなんだかかっこいい。
余計な装飾があるわけではありません。
でも、必要な機能がそのまま形になっているからこそのかっこよさがあります。
建築でいうと、設備や構造がそのまま表に出ているような感じでしょうか。
機能美、と言うと少し大げさかもしれませんが、ダムや橋、法面、トンネルのような土木構造物には、建築とはまた違った魅力があります。
たぶんこの感覚、分かる人には分かるはずです。
ダム好き、土木好き、廃道好き、法面好き。
このあたりは、きっと同じ沼です。

豊丘ダムは、観光地として大きく整備されている場所ではありません。
派手な売店があるわけでも、にぎやかな展望施設があるわけでもありません。
でも、だからこそ良い。
山の静けさの中で、巨大なダムと青い湖をじっくり眺めることができます。

最後にもう一度、ダム湖を眺めました。
少しピントが甘くなってしまった写真ですが、それでもあの青さだけはしっかり残っています。
むしろ、少しぼやけていることで、夢の中の景色のようにも見えます。
空より青いダム湖。
山の奥に現れる巨大なコンクリートの壁。
谷の向こうに見える須坂のまち。
豊丘ダムは、派手な観光地ではありません。
でも、ふらっと訪れた先で思わず足を止めたくなる景色があります。
須坂の市街地から少し山へ入るだけで、こんな場所がある。
そう思うと、身近な地域にも、まだまだ知らない風景が隠れているのだと感じます。
気まぐれに車を走らせて、気まぐれに立ち寄った場所で、思いがけずすごい景色に出会う。
豊丘ダムは、そんな旅の楽しさを思い出させてくれる場所でした。





