【建築のひとコマ⑬】宇宙を観測する建築

こんにちは!長野で注文住宅・デザイン住宅を手がけている「ALOHA100」設計の中澤です。
建物の形や納まりに隠れた工夫を、設計を学んだ視点から紹介する「建築のひとコマ」。
今回は、野辺山にある「国立天文台 野辺山宇宙電波観測所」を訪れました。
野辺山は、個人的にもかなり好きな場所です。高原の涼しい空気の中、大きなトラクターがのっそりと畑を進んでいく。
時間までゆっくり流れているようで、社会の騒々しさから一歩外に出られる気がします。
天文台のアンテナは遠くから何度も見ていましたが、敷地に入るのは今回が初めて。
「宇宙を観測する建築」はどんな姿をしているのか、歩いて見てきました。

草原にずらりと並ぶ、白い小さなアンテナ。
大きな望遠鏡のレプリカのようで、「かわいいな」と思って写真を撮りました。
ところが、これも実際に太陽を観測していた「電波ヘリオグラフ」。
直径80cmのアンテナを84台組み合わせ、太陽の活動を捉えていたそうです。
一つひとつは小さくても、力を合わせれば大きな望遠鏡に相当する働きができる。
見た目と役割のギャップに驚きました。現在は運用を終えていますが、その並び方から、敷地全体が観測装置だったことが伝わってきます。

少し歩くと、今度は大きなパラボラアンテナが現れます。
こちらは6台を組み合わせて使っていた「ミリ波干渉計」です。

いや~武骨でかっこいいですよね。
少しくすんだような風合いが長い年月ここで宇宙を観測し続けている努力の証のようにも見えてきます。
この望遠鏡、一見固定式に見えますが...実は動きます。

建物なら、柱や壁の位置を考えます。
ここではアンテナ同士の距離まで考える。
遠くからはアンテナが並んでいるだけに見えた風景が、足元のレールに気づくと、一つの設計された空間に見えてきました。
ミリ波干渉計も、現在は科学運用を終えています。
奥に見えるのは転車台。
車のようにハンドルはついていませんので、車体ごとクルッと回す必要があるのです。

アンテナを裏側から見ると、丸い皿を支える部材や足元の設備がよく分かります。
遠目には単純な白い円に見えていたものが、近づくほど複雑な構造物に変わっていきました。
よく見ると骨組みが三角形になっていますね。
三角形(=トラス)は構造上とても強固であるという特徴があります。
東京スカイツリーや大きなドームにもトラスが使われています。
よく見ると三角形が集まってできている建物は割とたくさんあるのでぜひ注目してみてください。

さらに奥へ進むと、直径45mの電波望遠鏡が現れます。
真下から見上げると、写真に収めるのも難しいほどの大きさです。
これだけ大きなものは、向きを変えるだけでも自分の重さでたわみます。
そのため骨組みは、たわんだ後も電波を集められる形になるよう設計されているそうです。
大きくつくるだけでなく、動いたときにどう変形するかまで考えている。
見上げた皿の裏側に、構造を設計する面白さを感じました。
小さなアンテナの並びから、大きな望遠鏡の骨組みまで。
野辺山の観測所では、装置の形も、置く場所も、敷地の広がりも、宇宙を観測するためにつながっていました。
遠くから眺めるだけでは気づけなかった発見です。

そして帰りは、野辺山といえばのポッポ牛乳。
ソフトクリームとヨーグルトのコンビネーションは絶品でした(コーンの中にヨーグルトが隠れています!)。
高原を歩いた後の一口まで含めて、また訪れたくなる場所です。




